ミトコンドリアタンパク質前駆体から二つの特異的なプロセシングペプチダーゼにより切り出されたオクタペプチドの生理機能の探索とその作用機作を解明することを目標とし、オクタペプチドの細胞(とくにミトコンドリア)の形態や機能への影響を解析した。 リンゴ酸脱水素酵素前駆体の延長ペプチド中のオクタペプチド部に相当するペプチド、PheSerThrSerAlaGlnAsnAsnとこの逆の配列を持つペプチドを化学合成し、それぞれを遺伝子導入用の合成2分子膜脂質を用いて培養動物細胞(COS細胞)に導入し、ミトコンドリアの形態への影響を抗リンゴ酸脱水素酵素抗体をもちいる蛍光抗体法で観察した。オクタペプチド投与により、ミトコンドリアの断片化が観察された。しかし、断片化は逆配列ペプチドでも起こることがあり、オクタペプチドに特異的な作用と断定するには至らなかった。一方、in vitroにおける電子伝達系活性には影響はなかった。 現在、細胞にペプチドを定量的に確実に注入できるミクロインジェクション法と蛍光抗体法の組み合わせによるリアルタイム形態観察を検討中である。
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