ヘム生合成の最終段階でプロトポルフィリンIXに鉄原子を挿入する酵素、フェロキレテ-スに構造遺伝子(hemH遺伝子)を遺伝子工学的に改変し、フェロキレテ-スをマグネシューム・キレテ-スにする目的で実験しているが、まだそれに成功していない。 1)大腸菌の変異株で鉄原子以外の原子を挿入するものを選別できる系を開発しようと試みたが、使用できるような選別系は現在のところ得られていない。 2)光合成細菌からのマグネシューム・キレテ-ス遺伝子を取り出し、大腸菌のフェロキレテ-ス遺伝子のキメラ遺伝子を作製しようと試みている。 3)この酵素の機能ドメインに関する情報を得る目的で、いろんな生物種のフェロキレテ-ス遺伝子を調べて比較を行った。その一環として、イネのフェロキレテ-ス遺伝子のクローン化に成功し、塩基配列の決定を行った。その結果、このcDNAは1736塩基対からなり、494アミノ酸をコードするORFを含むこと、そのアミノ酸配列はオオムギやキューリのフェロキレテ-スのアミノ酸配列と50数%のホモロジーがあることなどを見いだした。
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