研究概要 |
本研究はマウスDNAを保持しているYACクローンのうち注入法により受精卵へ導入した際,染色体外に高率にかつ安定に存在するクローンの解析を行うことを目的としており、この様な性質を示すと予想されるYACクローンを一つ発見している. 平成9年度はこのYACクローンの個体内での存在動態を検討した.すなわち、このYACクローンの具体的な受精卵への導入効率、及びトランスジェニックマウス(Tgマウス)個体でのYAC保持率と存在様式について解析した。受精卵への注入法によりマウスを作製後,出生したマウス尾よりDNAを抽出し、YAC DNAの有無についてSouthern blot法,PCR法を用いて確認した。すると出生39匹中、36匹(92.3%)がトランスジェニックマウスであることが両方法で確認された。通常、出生マウスに対する導入効率は10〜30%であるので非常に高いことが確認された。 次に、得られたTgマウスにおけるYACの存在形態、組織分布についてパルスフィールドゲル電気泳動法により解析した.脾臓より高分子ゲノムDNAを抽出した後、制限酵素未処理、制限酵素Pst l処理後のDNAを電気泳動し、Southern blot法を用いて検討した。すると、YACの詳細な存在形態はわからなかったものの、尾以外の体細胞にもYAC DNAは存在することが判明した。 よって、今後はYACクローンの細胞内存在形態の解析とYAC DNA構造解析を予定している。
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