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1998 年度 実績報告書

細胞壁形成がG2/M進行をコントロールする分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 09878158
研究機関東京大学

研究代表者

大矢 禎一  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20183767)

キーワード細胞壁 / 酵母 / 細胞周期チェックポイント
研究概要

出芽酵母の1,3-β-グルカン合成酵素の触媒サブユニットは、FKS1、FKS2と呼ばれる相同性の高い2つの遺伝子によってコードされており、両遺伝子の破壊は致死になる。そこで、FKS1 FKS2の二重破壊株にPCRによってランダムに変異の入ったfks1を持つプラスミドを導入し、37℃で増殖できない変異株をスクリーニングする方法で、17の温度感受性変異株を単離した。これらの株についてFKS1内のユニークな制限酵素サイトを用いてサブクローニングを行った結果、10個の変異株について温度感受性に関与している領域を限定し、変異部位を決定することが出来た。これら10個の変異株についてサブクローニングした変異を染色体内に組み込み、表現型が安定な状態で解析できるようにした。得られた10個の変異株が実際にグルカン合成に欠損を持つかどうか調べるために、それぞれの変異株から膜画分を調製し、in vitroのグルカン合成酵素活性を測定した。さらに、l,3-β-グルカンを特異的に染色するアニリンブルー色素を用いてin vivoでグルカンを作ることができるかどうか調べた。その結果、fks1-1114、fks1-1125、fks1-1144、fks1-1154の4つの変異株はin vitroのグルカン合成酵素活性が顕著に低下しており、制限温度下ではin vivoでもグルカン合成に欠損が見られた。グルカン合成と細胞周期進行との関連を調べるために、これらの変異株について制限温度下での細胞と核の形態を顕微鏡で観察し、DNA含量をFACS解析で調べた。その結果、 in vitro.in vivoでグルカン合成に欠損を持つ変異株は制限温度下で芽を持たないかあるいは小さな芽の様な突起を持った細胞を多数蓄積し、核は1核のままであったが、DNAの複製は正常に終了していた。この時、細胞の生存率は比較的高く保たれていたことから、細胞が単に死に絶えているわけではなく、グルカン合成に欠損が生じた際の細胞応答の1つの現れとしてG2/M期の細胞の蓄積が見られていると考えられた。この結果は、細胞のもっとも外側で起こっている細胞壁合成と細胞周期進行が密接に関わりを持ちながら制御されていることを示唆している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Homma,K.: "Phosphatidylinositol-4-Phosphate 5-Kinase Localized on the Plasma Membrane Is Essential for Yeast Cell Morphogenesis" J.Biol.Chem.273. 15779-15786 (1998)

  • [文献書誌] Sekiya,-K.M.: "Identification of Functional Connections between Calmodulin and the Yeast Actin Cytoskeleton." Genetics. 150. 43-58 (1998)

  • [文献書誌] Okano,H.: "Importance of Phenylalanine Residues of Yeast Calmodulin for Target Binding and Activation." J.Biol.Chem.273. 26375-26382 (1998)

  • [文献書誌] Caplin B.E.: "Amino Acid Residues That Define Both the Isoprenoid and CAAX Preferences of the Saccharomyces cerevisiae Protein Farnesyltransferase." J.Biol.Chem.273. 9472-9479 (1998)

  • [文献書誌] Helliwell,S.B.: "The THO1 effector PKC1,but not BNI1,mediates signalling from TOR2 to the actin cytoskeleton." Curr.Biol.22. 1211-1214 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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