研究分担者 |
林 誠司 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (10285249)
玉田 善堂 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (60254364)
田中 雅樹 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (80264753)
川上 富美郎 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (60186062)
黒谷 亨 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (50195591)
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研究概要 |
ラット視交叉上核(SCN)は概日リズムの振動体である。我々はin vivoに近い組織構築を保持したまま,その神経活動を長時間解析する目的で,多電極皿(Multi-electrode Dish;MED)上で胎児及び新生児由来のSCNを含む切片を培養し,SCN内の複数点からの自発発火活動の記録を試みた。 1)E18-P2由来のSCN切片をMED上で10日以上培養することに成功した。培養後,免疫組織化学により,in vivoのSCNと比較すると,P7-P14のSCNに相当した。 2)5-7日間培養した切片に於いて,多点から神経の自発応答が検出された。それらの応答波形は単一のスパイク上の活動が比較的明瞭に観察できるタイプと,スピンドル状の電位応答が検出されるタイプに大別された。これらの自発応答の頻度には概日周期が認められ,電極間においてその概日リズムの位相はほぼ同期していた。測定後行った免疫染色の結果では,自発的な電位応答が検出された電極上に位置する細胞に,特定のニューロペプタイドを産生する傾向は見いだせなかった。 3)単一スパイク上の活動が比較的明瞭に観察される自発応答では,150μm以上離れた電極間で自発発火活動に相関が認められた(0.3msec以内)。スピンドル型の電位応答については電極間の相関は認められなかった。 考察 個々のニューロンの活動はどのように統合され,SCN全体として,概日リズムを作り出しているのか。今回の実験により,SCN切片上,電極間で,0.3m sec以内ときわめて短時間内に,自発的電位応答に高い相関が認められたことから,化学的シナプスによらない統合機構により,ニューロン同志が機能的に結びついていることが示唆される。我々は自発的電気応答の統合機構として,ギャップ結合を想定して解析を進めている。この仮説にかなう実験結果として,ギャップ結合の構成蛋白質であるconnentin26をSCN内に於いて免疫組織化学的に検出している。
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