運動ニューロンの軸索ガイダンスに関わるcDNAを単離することを目的として、サブトラクションクローニングを行い、これまでに2つの分子を得た。 〔方法〕 ニワトリ4.5日胚から、胸部、および腰部脊髄を別々に単離し、パンニング法により運動ニューロンを精製し、ここからmRNAを調整した。cDNAに変換した後、制限酵素処理し、両端にリンカーをつけ、このリンカーを用いてPCR法により増幅した。腰部運動ニューロンcDNAから、胸部運動ニューロンcDNAをビオチンアビジン法を用いて差し引き、さらにこの一部をシークエンスゲル上にdisplayし、特異的発現を示す断片を単離した。これをベクターに繋ぎ、塩素配列を決定しデータベースを照合して、配列の相同性を調べた。 〔結果〕 1つはごく最近クローニングされたショウジョウバエRoundabout(Robo)遺伝子のニワトリホモログであることが判明した。Roboは、神経軸索先端の成長円錐に特異的に発現し、正中線を越えるプロセスを制御している新たな受容体分子として、University of CaliforniaのCorey GoodmanらによりCellに報告された。今後この分子のニワトリ胚における発現分布、機能解析などに取り組みたい。また、もう一つの分子は、シグナル伝達に関わるとされるMAP kinase kinaseに相同性のある新規分子である。この分子についても発現分布、機能解析などを行いたい。
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