研究概要 |
リアノジン受容体はCa^<2+>放出チャネル蛋白であり、遺伝子が異なる3つのアイソフォームが知られている。1型は主に骨格筋に、2型は主に心筋、中枢神経系に存在する。3型は始め脳の特定の部位に局在するアイソフォームであると考えられたが、その後僅かであるが広く遍在することが分かった。骨格筋では成体では横隔膜に存在することが知られている。一方、悪性症候群はクロールプロマジン等の抗精神病薬を服用中にみられる筋硬直と急激な発熱を伴う重篤な副作用であり、1型リアノジンの特異的拮抗薬として知られているダントロレンがその治療に有効であることから脳の3型リアノジン受容体の関与が考えられている。哺乳類の3型リアノジン受容体はそのcDNAまたはmRNAによりその存在が確立されているが蛋白としては捉えられていなかった。我々は部分アミノ酸ペプチドを用いて特異的な抗体を作製し、この抗体を用いて免疫沈降法により脳の3型アイソフォームの性質を検討した(J.Biol.Chem.271,5079-5084,1996)。3型には多くの変異体が存在することが考えられるので、横隔膜の3型受容体についてその性質を[^3H]リアノジン結合活性をもとに検討した。3型受容体の存在比は1型の1%以下であること、四量体1分子につき1分子のリアノジンが結合し、そのCa^<2+>依存性リアノジン結合のリアノジンに対する親和性は約2nMである。アデニンヌクレオチドで促進され、Mg^<2+>、プロカイン、ルテニウムレッドなどの阻害薬で抑制されるなど他のリアノジン受容体とよく似た性質を示す。Ca^<2+>親和性については3型は1型に比し約1/10であるが、これは3型そのものの特徴ではなく、1型は動物種差が大きく、むしろ動物種差による差と見做した方が適切であることをカエル骨格筋のものとの比較で明らかにした。またMg^<2+>により抑制されはするが、その抑制の程度は1型に比し、極めて弱いことを明らかにした。これらの成果を既に報告している。
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