1.p53遺伝子欠損マウスからの骨芽細胞様細胞系の樹立 p53遺伝子欠損マウスの新生仔頭蓋冠より細胞を単離し、アルカリフォスファターゼ活性を指標に、分化した骨芽細胞として形質をもった細胞系を樹立した(MMC2)。MMC2はアルカリフォスファターゼ活性に加えて、I型コラーゲン及びオステオカルシン遺伝子を発現している。またascorbic acid添加で培養を継続すると、in vitroにおいて石灰化巣を形成する。旺盛な増殖能を示し、不死化細胞と考えられるが、接触阻止及び足場依存症の増殖を示し、癌細胞としての形質は有していない。ヌードマウスでの腫瘍形成も認められないが、異所性骨化巣を形成する。In vitroにおいてBMP2及び4を産生し、かつBMP受容体を発現していることより、MMC2自体が骨化巣を形成した可能性と、宿主細胞に作用して骨化を誘導した可能性が考えられた。 2.p53遺伝子欠損マウスからの破骨細胞様細胞系の確立 新生仔マウス骨髄から間質細胞を分離、クローニングしたのち、活性型Vitamin D3(VD3)添加の培養で酒石酸抵抗性酸ファスファターゼ(TRAP)活性を指標に破骨細胞の前駆細胞と思われる細胞系を単離した(BM2C3)。BM2C3はVD3及びprostagladin Eを添加して培養するとTRAP陽性の多核細胞を多数形成する。しかしdentin sliceを用いた実験では、明らかな骨吸収窩は示さず、TRAP陽性所見との解離が認められた。 p53遺伝子欠損マウスからの脂肪前駆細胞系の確立 同様に新生仔マウス骨髄間質細胞から得られたクローンの中からdexamethason添加の培養にて、豊富な脂肪摘を有するadipocyte様の形態を呈する細胞系を樹立した。現在、そのadipocyteとしての形質を解析中である。
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