研究概要 |
【目的】 われわれは血管内視鏡、血管内超音波、レーザーファイバーを一体成形したカテーテル(EU-Catheter;EU-C)を開発した.上記カテーテルは従来開胸下で行われてきた心血管内手術の一部を経皮的にアプローチし,心拍動下で直視下に手術を行おうとするものである.今回,われわれはEU-Cによる経皮的心拍動下心血管系手術の適応症例の検討と動物実験による評価を行うことを目的とした. 【結果】 1、in vivo評価ではEU-Cの操作性は良好で血管内膜の損傷もほとんど認めなかった。対象病変への誘導も先端を屈曲させたガイドワイヤーで円滑に行うことが可能であった。 2、僧帽弁交連部に対するレーザー照射では健常な弁であるが内視鏡下照射も確実に施行可能であった。動脈内の対象病変に対する検討でも同様な結果を得た。 3、心筋内血行再建術(TMR)に関しては、心筋虚血部へのEU-Cのアプローチおよびレーザー照射(8W,3sec反復照射)は短時間で確実に行うことが出来た。術直後の心内膜,及び心外膜側よりのTMRの肉眼所見では特に有意な差は認めなかった.術後25日での肉眼所見ではレーザーによるTMR部位は心外膜側、心内膜側でアプローチによる差は認めなかった。TMR直後の心筋よりの出血に関してはアプローチによる差は認めず用手圧迫により容易に止血可能であった. 【結論】 1、EU-Cは心血管系の大半の部位で、レーザーによる心拍動下手術が可能であると考えられた。 2、EU-CによるTMRは開胸下TMRより低浸襲で病理学的観点からより有効な血行再建術であることが示唆された。
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