研究概要 |
これまでのヒト遺伝地図は遺伝子マーカー集合体であった。これをDNA(ゲノム物理地図)に置換えるとヒト遺伝地図はどのように改編されるだろうか?最近、開発された大腸菌人工染色体ベクターBAC/PACは、遺伝子材料を点(マーカー)から線(DNA)へ転換を可能にしただけでなく、遺伝子機能・発現地図、遺伝病理、発生シナリオ作成などゲノム生物学の萌芽的状況を作りだしている。本研究は、このインセンチブをダウン症病理解明で検証することを目的とする。 1)当初、ゲノム物理地図からCpGタッグ法で直接、遺伝子発現・機能地図に転換することを目的とした。しかし、PACのレア-カッター部位の検索が予想以上に困難であるため、本年度は、175kbのPACをショットガン法で直接シークエンスし,遺伝子解析からダウン症遺伝子の一つCBR3を発見した。 2)8メガベースのダウン症領域の物理地図を完成するため、約20万クローンのPACライブラリーのPCRスクリーニングを行い、10個のギャップのうち8個を埋めた。最長のコンテイグは3.5メガである。 3)中枢神経系形成制御遺伝子hSIMに関して現在のクローンでは奇形マウス作製が困難とわかり、新に開発されたシークエンス用BACライブラリーを導入し、三次元スクリーニングと染色体歩行法を確立した。現在完全長の候補遺伝子をスクリーニング中である。
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