研究課題
本研究の目的は、認知過程の基礎となるワーキングメモリの脳内機構を、認知心理学、脳の神経科学および神経心理学のアプローチから総合的に研究することである。今回の企画調査はその総合的研究に向けて、それぞれの領域の研究者が相互に研究成果の発表、意見交換を行い問題点の確認を行うことを目的とした。研究会議の計画:本年度は「ワーキングメモリの脳内機構」というテーマで、公開シンポジウムを3回、非公開シンポジウムを3回開催した。第1回 6月26日(於:京大会館)第2回 9月19日(於:関西学院 日本心理学会ワークショップと共催)第3回 9月20日(於:芝蘭会館)第4回 11月6日(於:京大会館)第5回 12月14日〜12月16日(於:琉球大学)第6回 2月7日(於:芝蘭会館)本年度の研究集会の討論を踏まえて、現在ワーキングメモリ研究において解明されるべき重要点を以下の3点として決定した。その上で12名の研究者の考えの集約を行った。(1)ワーキングメモリの脳内機構に関して、脳内機構は、機能が局在するのかそれとも分散するのか。(2)ワーキングメモリの定義およびワーキグメモリのモデル。(a)ワーキングメモリと従来の記憶研究で用いられているSTM、LTMとの関係(b)ワーキングメモリにおける処理と保持との関係について(c)認知活動におけるワーキングメモリの役割について(3)ワーキングメモリと、注意および意識との関係について。以上の3点についての考えの結果は、平成10年度の日本心理学会のシンポジウムにて公開する予定である。