トリクロロエチレン、ダイオキシン、芳香族炭化水素などによる深刻な環境汚染問題が現在社会問題化していることは周知の事実である。申請者らは、土壌微生物の総合的理解に立脚した実用化可能な土壌環境修復技術の確立を究極的な目標として、主として応用微生物、土壌微生物学分野の研究者によって構成される特定領域研究を組織することを計画した。本研究は、その準備を進めるにあたって、土壌におけるコンソーシア研究の現状、問題点、将来に向けての方向性等に関して調査と総合化を行うことを目的として組織したものである。平成9年6月7日に第一回の班会議を開催し、関連分野の研究状況を把握するとともに特定領域研究において取り上げる研究課題の提案を行った。また、平成9年6月27日には、バイオレメディエーションに関連する世界最先端のの研究状況を認識するため、外国人5名と日本人4名の研究者による国際シンポジウムを開催した。その後も、班員間で密接な情報交換と議論を重ね、微生物の環境汚染物質の分解能を分子レベルで解明するとともに環境汚染物質分解系酵素の構造生物学的解析・分子改変、環境浄化の場における環境汚染物質分解菌の動態解析等を行う研究プロジェクトを設立することが社会的にもきわめて緊急性が高いことを改めて認識した。そして、最終的に平成10年度発足の科学研究費補助金特定領域研究(B)「微生物による地球環境浄化の分子基盤」を企画立案するに至った。
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