研究課題/領域番号 |
09896005
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大坪 政美 九州大学, 農学部, 助教授 (80112316)
|
研究分担者 |
田中 洋行 運輸省港湾技術研究所, 地盤調査研究室, 研究員
甲本 達也 佐賀大学, 農学部, 教授 (60038304)
筑紫 二郎 九州大学, 生物環境調節研究センター, 助教授 (00127458)
高山 昌照 九州大学, 農学部, 教授 (60038312)
江頭 和彦 九州大学, 農学部, 教授 (20038293)
|
キーワード | 堆積環境 / 土質工学 / 塩分 / 粘土鉱物 / 鋭敏比 / バンコク粘土 / カナダ東部粘土 / 有明粘土 |
研究概要 |
本研究では、海成沖積粘土として有明粘土とバンコク粘土、および氷河性の海成粘土としてカナダ東部粘土を調査し、これら堆積物の化学的、鉱物学的、および土質工学的性質の一般的特徴を把握し、堆積環境との関係を調査した。得られた成果は、今後粘土の強度・圧密特性と堆積環境の関連をより詳細に研究するための基礎資料となる。 得られた成果は以下のように要約される。バンコク粘土の堆積環境は、4mより上部、12mより下部は塩分の低い状況で、4〜12mの部分は塩分の高い環境で堆積したことが確認された。これは、有明粘土の塩分環境と類似しており、世界的な海面変動から説明できる。カナダ東部粘土は海成堆積物であるが、堆積物が塩類溶脱を受けたため汽水あるいは淡水の塩分状態になっている。主要粘土鉱物は、バンコク粘土では有明粘土と同様、スメクタイトであるが、このスメクタイトは高膨潤性を示し、有明粘土の低膨潤性スメクタイトとは異なっている。しかし、塩に対するコンシステンシーの挙動は同じである。以上に述べたような、粘土鉱物や堆積時・堆積後の塩分環境の特徴は、粘土堆積物の工学的性質に影響を及ぼす。粘土の活性度の値は、スメクタイトの膨潤性の違いによりバンコク粘土では1.5〜2.0、有明粘土では0.8〜2.0となっている。カナダ東部粘土の活性度は、0.5以下である。鋭敏比は、有明粘土では16〜50であるのに対し、バンコク粘土では15以下である。これもスメクタイトの膨潤性の違いによると推測される。カナダ東部粘土は塩類溶脱を受けたため、その鋭敏比は100以上を示す。
|