研究概要 |
平成21年度は,一般相対論を拡張した理論での暗黒エネルギー模型の構築に関する研究を,研究分担者のAntonio De Felice氏とともに共同で行った.特に,系の作用が,ガウスボンネ項の一般的な関数で書かれている理論において,最終的に加速膨張解に近づく模型の構築を行い,解の安定性などの解析から,宇宙論的に妥当な解が得られる条件について明らかにした.この成果は,Physics Letters B誌に掲載された.さらに,そのような模型が,幅広いパラメータ領域で太陽系の局所重力の実験の制限を満たすことができることを,De Felice氏とともに共同で示し,その成果はPhysical Review D誌に出版された. さらに,同理論における密度揺らぎの進化について詳細に調べ,スカラー場の伝搬速度の2乗が負になるモードの存在により,小さなスケールにいくほど揺らぎの不安定性が増すことを示した.特に,物質優勢期の密度揺らぎの進化を調べ,最終的な物質揺らぎのスペクトラムから,この模型の一般相対論からのずれの程度を見積もった.この研究は,De Felice氏とDavid Mota氏と共同で行い,その成果はPhysical Review D誌に掲載されている. また辻川と,De Felice氏は,台湾の国立精華大学で行われた国際会議に招待され,上記の研究成果に関する口頭発表を行った.また,Living Reviews in Relativity誌から,修正重力理論のレビューの執筆を依頼され,2010年2月に同誌に投稿した.
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