3d遷移金属窒化物であるTiN、VNおよびCrNの電子状態、電気伝導および磁化率について研究を行った。CrNは286Kで磁気構造相転移を起こすことが知られている。その光電子分光実験に関してはSPring-8のビームラインBL17SUの光電子分光ステーションと物性研究所のレーザー光電子分光を使用し、内殻および価電子帯光電子分光や共鳴光電子分光を組み合わせることで占有電子状態の情報を得た。共鳴光電子分光によって、電子相関エネルギー4.5eVが求まった。レーザー光電子分光により、相転移温度以下で、明確な金属的フェルミエッジが観測された。一方、硬X線光電子分光を用いて、内殻スペクトルにスクリーニングピークが観測された。このスクリーニングピークは、クラスター計算により、電子相関エネルギー4.5eVを用いて再現された。CrNについては、磁気構造と結晶構造の変化の対応を明らかにし、さらに既報の理論研究と組み合わせることによって、両者のカップリングの機構を解明できたと考えている。この結果は、Phys.Rev.Lett.に投稿された。
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