研究課題/領域番号 |
09F09036
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
小原 孝夫 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授
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研究分担者 |
GABRIEL Pristas 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 局在・非局在 / イッテルビウム / サマリウム / 重い電子系 / 核磁気共鳴 |
研究概要 |
4f^5-4f^6の電子状態を取り得るサマリウム(Sm)系化合物において磁性-非磁性転移の詳細を調べるため、圧力印加にて磁性-非磁性転移の制御が可能な数少ないSm系化合物であるSmB_6について、系統的な圧力下NMR(核磁気共鳴)測定を行ってきた。 ・低圧力領域下における^<11>B-NMR測定 常圧下、1.5GPaの高圧下において1.5~250Kの温度領域にてスピン-格子緩和時間の測定を行うと同時に、測定と解析方法の習得を行った。SmB_6の高圧下NMR測定の報告は過去に殆どない。これまでの報告(X線吸収測定)では、約1GPaの圧力印加によってSmの平均価数が2.6からほぼ3に変化するとの報告があるが、今回の測定の結果、1.5GPaの圧力印加ではスピン相関や絶縁体ギャップの大きさに顕著な変化は現れないことが分かった。現在進行中の2.5GPaでの測定結果を合わせて、7月に開催される国際会議(CSMAG'10)にて報告する予定である。 ^<11>B-NQR(核四重極共鳴)測定の試行 SmB_6における^<11>B-NQR周波数は1MHz以下と非常に低く難しいため、これまでその直接観測に成功した例は無い。しかし、そこからはSm価数に関する情報など非常に有益な情報が得られると期待されるため、本研究課題においてその直接観測を試みている。^<11>B-NMRスペクトル測定より、NQR周波数は約0.57MHzと見積もられた。これは、過去の他グループによる報告に一致している。これまでの幾度かの試みから、約1NHzまでの低周波領域における測定は可能であることが分かった。今後、信号強度を高めるため、測定試料の量を増やすなど工夫を加えて、より低周波領域の測定に臨む。
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