研究課題
申請者らはこれまでに、サドル型の歪みを有するポルフィリンを用いて、興味深い超分子構造や、それを利用した光誘起電子移動特性などを報告してきた。本研究において申請者らは、歪んだπ共役平面を有するポルフィリンに対して、カルボキシル基などの水素結合性置換基を導入して自己集積化することにより、ポルフィリン間の相対配置を水素結合の方向性により制御するとともに、集積化構造の安定性を増大させ、光伝導特性の向上や、新しい機能性を発現させることを目的に研究を展開している。本年度は、サドル型の歪みを有するドデカフェニルポルフィリン(DPP)のメソ位のフェニル基に、1つ、4つ、8つと異なる数のカルボキシル基を導入した分子をそれぞれ合成した。DPPのジプロトン化体は、通常のポルフィリンと異なり電子アクセプターとして働くことから、この水素結合性のDPPに対して、電子ドナーとなるヒドロキノンやTTFなどの分子を加えて集積化させた。この際、ヒドロキノンなどを内包した超分子構造がX線構造解析などにおいて観測された。この集積体中においてカルボキシル基は、ポルフィリンに導入した数や位置により、分子間で相補的な水素結合を形成している場合や、溶媒と水素結合している場合などの違いが見られた。またその結果、ポルフィリンの集積構造中における、ポルフィリン間の相対位置も異なり、ドナー分子が存在する位置も異なっていた。また、それらのゲスト包接超分子結晶の固体状態におけるフェムト秒過渡吸収スペクトル測定を行い、電子移動ダイナミクスについても検討した。さらに、それらの複合超分子を用いた色素増感太陽電池を作成し、その光電変換特性について検討した。現在、水素結合サイト導入による空間配置の違いが、集積体の光伝導性に対して与える影響に関して検討を進めている。
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