研究課題/領域番号 |
09F09063
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
新留 琢郎 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授
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研究分担者 |
DAKRONG Plssuwan 九州大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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キーワード | 金ナノ粒子 / 金ナノロッド / 近赤外光 / フォトサーマル効果 / 経皮ワクチン |
研究概要 |
ネコの感染症としてよく知られているトキソプラズマ(Toxoplasma gondii)感染症は原虫感染症の一つで、世界中に感染者が存在する。一般に健康な成人では重篤な症状は現れないが、エイズ感染や臓器移植後の患者のような免疫不全の状態にあると、重症化して死に至ることがある。治療法として現在はロキシスロマイシン(マクロライド系抗生物質)やスルホンアミド、ピリメタミン等(抗寄生虫薬)が処方されるが、強い副作用によりその利用は制限される。副作用の少ない効果的な治療法の開発が急務となっている。 本研究では近赤外光を照射すると発熱する性質をもつ金ナノロッド(棒状の金ナノ粒子)にその治療薬(ロキシスロマイシン)を修飾し、金ナノロッドの発熱効果と修飾薬物の相乗効果による効果的な治療法を開発することを目的としている。本年度は、ロキシスロマイシンの疎水性を利用した金ナノロッドの金表面への吸着を試みた。予備的実験は済み、担持薬剤量の調節や徐放性評価の準備を整えた。 一方、金ナノロッドの発熱効果を利用した経皮ワクチンシステムの開発も行った。抗原タンパク質と金ナノロッドを複合化させ、マウス皮膚に塗布し、近赤外光を照射した。その結果、有意な抗原タンパク質の経皮デリバリーが観察され、また、抗体産生もわずかながらではあるが確認された。より実用的な経皮ワクチンシステムへと発展させるためには数多くの改良をしなくてはいけないが、その道筋を明らかにできた。
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