本研究は、蛇の運動原理とミミズの移動原理を融合し、震災等における瓦礫の散在する環境下で生存者の探索・救援が行なえるロボットシステムを開発することを目的としている。 平成22年度において、昨年度に試作された基本関節ユニット(直動駆動、ロール回転、及びピッチ回転の3自由度を持つ)を用いて、頭部と尾部をも持つロボットシステムの開発を行った。本ロボットには12自由度を有し、長さ92cm、直径10cm、重さ3.1kg、円柱型の外形を持つ。直動駆動自由度を持たせることで、このロボットは蛇型運動だけでなくミミズの移動原理も行え、蛇とミミズの移動原理を有機的に融合した超生物的な移動を実現することができる。次に、このロボットを駆動制御する制御システムを構築した。この制御システムには駆動電源を含め、サーボーモータ制御系や無線通信系などを全て各ユニット内に納め、ロボットを構成する関節同士やコード類などの相互干渉を無くすことができ、ロボットの運動性能、柔軟性、信頼性が向上できる。また、実機械モデルの開発と並列して、蛇の運動原理とミミズの移動原理を有機的に融合するための理論研究を行い、蛇型移動、ミミズ型移動、および蛇型-ミミズ型の混合移動を行う本ロボットの数学モデルを構築し、これらの運動について計算機シミュレーションで運動解析を行った。その結果として、開発されたロボットにミミズ型移動を導入することで、狭隘空間へ侵入が簡単となり、蛇型移動特有の特異姿勢問題も解決できることを判明した。本年度の研究は超多自由度多関節型移動ロボットを効率よく運動制御するための基礎を成している。
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