研究概要 |
昨年度の研究成果の一部を、JSTのPCT国際特許出願(PCT/JP2010/0555483)「分散補償フォトニック結晶ファイバ」を行うことができた。 本年度は、光ファイバ中に多数のエアホールを規則正しく配列した構造を有するフォトニック結晶ファイバ(PCF)の最適設計を昨年度の研究成果を発展させる形で取り組む予定である。 光パルスの群速度が波長(色)によって異なる波長分散特性が、広い波長域1.25μmから1.61μmで、平坦(フラット)の特性0+/-1.15ps/(nm.km)で、かつ同時にPCFを実用化する際の重要なパラメータの一つである閉じ込め損失が小さい(10-10dB/m)先端的なPCFを数値解析用パソコンを用いて、昨年度の研究成果を発展させたより最適な設計を行う。 また、光波の実効的な光パワー分布を表す実効断面積(Aeff)が小さい(7μm2)PCFの最適設計も行う。これは高非線形PCFと呼ばれており、波長1.55μmで、非線形定数(n2/Aeff)が大きい(35[Wkm]-1)もので、通常の光ファイバの3倍も大きく、フェムト秒ファイバレーザ等の短光パルスをこの高非線形PCFに入射すると、連続光スペクトルが発生する超広帯域のスーパーコンティニューム(SC)光源をOCTを用いて眼の3次元画像等の実用化が期待できるものである。OCTの波長帯は、0.8μm,1.0μm及び1.3μmの光源が求められてきている。 昨年度、非線形シュレーディンガー方程式を用いて、設計した高非線形PCFに、短光パルスを入射した時に発生する超広帯域スーパーコンティニューム(SC)光のスペクトル波形のシミューレーションに成功した。 今年度は、SC光のスペクトル波形のシミューレーションを活用し、さらに高非線形のPCFを最適設計する予定である。
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