デング熱は、現在のところワクチンもないため東南アジアの広い地域で公衆衛生上の問題となっている。デングウイルスは、DEN1~4の4種類に大別され、それらのエピトープ領域とウイルス株に対する抗体の特異性を解明する事は重要な研究課題である。本計画では、抗体認識の特異性に直接関わる可能性が高いデングウイルスのエンベロープ糖タンパク質(以下、Eタンパク質)の第3ドメイン(以下、E3D)の構造解析が最近報告されたことに注目し、その変異体解析を行い、抗体認識機構(及び部位)を分子レベルで解明する。 平成21年度では、E3Dの大量発現系を構築した。そのため、合成DNAを用いてE3Dの塩基配列を作製し、研究室で所有するpET発現系、pAED発現系にその遺伝子を導入した。培地種類、発現温度などの発現条件を最適化し、培地1L当たり30mgの収量で精製できる条件を求めた。組換えE3Dタンパク質は、通常の精製法(ニッケルレジン、HPLC)で、高純度に精製した。高純度に精製したE3Dの熱安定性や二次構造含量を、円二色性分光法で調べた結果、βシートとαヘリックスが含まれることを解明した。
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