研究課題
海洋無脊椎動物から単離精製したガラクトシド結合性レクチンの糖鎖結合特異性の評価を行い、同一の特異性(ガラクトシド)に基づき精製したレクチンであっても、その詳細な糖鎖認識は非常に多様であることをフロンタルアフィニティークロマトグラフィーを用いたプロファイル結果から明らかになった。これらには、リウマチIgGに特異的に出現することが報告されているアガラクト糖鎖への認識、再生細胞の糖鎖構造解析から得た特徴に基づき細胞分類の指標に役立つと考えられる、分岐型タイプ2N-アセチルラクトサミン糖鎖への選択的な結合、バーキットリンパ腫細胞に特異的に発現し、ベロ毒素など病原性微生物のタンパク毒素のレセプターとしても知られるGb3糖鎖への結合が認められ、海洋無脊椎動物レクチンには疾患や再生で特異的に構造変化する糖鎖を認識出来る生命科学の研究上、有意な分子が複数存在していることが示唆された。さらに腹足類の卵から得たレクチンでは、グロボ系糖脂質を発現しているリンパ腫細胞に添加することで、レクチンの量依存的に細胞生存率を有意に低下させた。本結果から特定の糖鎖を持つ細胞、糖タンパク質の検出のみならず、細胞増殖に対する制御能も持ち得ることが新たに示唆された。
1: 当初の計画以上に進展している
研究成果に記した疾患や再生減少に関与が示唆される多様な結合活性を持つガラクトシド結合性レクチンが単離され、これらに関する成果を下記研究業績欄の学術論文に公表できた。
下等動物から多数のガラクトースやガラクトシド結合性レクチンが単離されているが、その一方で、ガラクトースは進化的に新しい時代に出現した糖と考えられ、海洋無脊椎動物にガラクトースやガラクトシド構造を持つ複合糖質の報告は少ない。得られたレクチンに対する抗体を作成したので、これらが動物体内のどこに局在し、それら組織中にはガラクトース残基が発現しているかを、植物レクチンプローブを含め免疫組織学的に明らかにし、海洋無脊椎動物レクチンと内在性リガンドとの関係を調べ、レクチンの生理的役割と機能解明を進める。
すべて 2011 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件) 備考 (2件)
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