研究概要 |
結び目のカラードジョーンズ多項式と結び目補空間の双曲体積との関係を表す体積予想に関して研究を進めた。カシャエフ不変量に対して構成された横田理論をカラードジョーンズ不変量に一般化することを目標とし,2009年度においては,対応する三角形分割の様子を詳しく調べているところである。結び目をタングルで考え,タングルに対応する三角形分割から結び目補空間の三角形分割を構成するのであるが,ここでいくつかの四面体を退化させることにより,カシャエフ不変量とうまく対応する三角形分割が構成されている。この退化のプロセスをカラードジョーンズ不変量に対しても構成することが大切であることがわかった。 また,体積予想に関する最新の研究成果を知るため,2010年1月14日から16日にかけて体積予想に関する研究会を早稲田大学において開催し,海外からギア,ベーン,ジッカートの3研究者を招いて連続講演を行い,国内からは井上,蒲谷,村上(斉),横田,Choによる研究発表を行って,それぞれの研究成果についての討議を行った。ここでは,横田理論が双曲体積ばかりでなく,チャーンサイモンズ不変量に対しても拡張できることが発表され,また,体積予想を結び目だけでなく空間中のグラフに拡張する方法も発表された。さらに,カラードアレキサンダー不変量に関する6j記号の構成法や,カンドルを用いた体積の計算法についても発表があり,体積予想の様々な展開を知ることができたとともに,今後の研究を進める上でも非常に有意義であった。
|