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2011 年度 実績報告書

「ひので」衛星を用いた太陽電磁流体現象の研究

研究課題

研究課題/領域番号 09F09223
研究機関国立天文台

研究代表者

末松 芳法  国立天文台, ひので科学プロジェクト, 准教授

研究分担者 OROZCOSUAREZ DAVID  国立天文台, ひので科学プロジェクト, 外国人特別研究員
キーワード天文 / 太陽物理学 / 光球 / 偏光観測 / 太陽磁場 / 磁気流体現象
研究概要

太陽表面で見られる活動現象の大部分は太陽に存在する磁場に関係して起こっている。黒点は強い磁場が存在する場所として良く知られており(活動領域)、フレアなどの爆発現象が起こる場所に対応している。一方、黒点以外の場所(静穏領域)にも強い磁場は存在し、機械的エネルギーがこの磁場を介して外部のコロナに輸送されコロナが一般に100万度以上の高温になる原因と考えられている。但し、どのような機構でエネルギーが外部に運ばれているかは未解明の大問題である。また、対流と磁場の相互作用としての未解明のダイナモ機構に関連する極めて重要な電磁流体現象を提供している。本研究は太陽磁場、特に地上では観測の難しい静穏領域の磁場の性質を詳細に調べることでこの謎解明に迫るものである。太陽静穏領域の磁場はネットワーク構造をしており、超粒状斑と呼ばれる直径約3万kmの対流セルの境界に集中して存在することが知られている。個々の磁気要素は激しく変化しており、数時間の時間スケールで入れ替わっていることが予想される。超粒状斑内の浮上磁場、その対流運動による超粒状斑境界への輸送、境界磁場との融合消滅過程を経て、更新が行われていると考えられる。これらの静穏領域の磁場の性質の研究が進んできたが、まだ統一的な見解は得られていない。このため、太陽観測衛星「ひので」の高精度磁場観測を実施し、静穏領域で太陽中心角の異なる4つのフォトンノイズの小さいデータを用いて磁場の傾きを調べた。視線方向磁場に対応する円偏光成分と、視線に直角方向の成分に対応する直線偏光成分には、太陽中心角の大きな依存性があり、水平成分が卓越していることを示した。この結果は、磁場は等方的ではなく、小さなループ構造で多く存在していることを示唆している。太陽中心角に依らず、磁場強度は平均で180ガウスとなり、以前のハンレ効果を用いた結果と同様の強い磁場が得られた。更に、積算により非常にフォトンノイズを小さくした「ひので」の偏光データを解析した結果、直線偏光のみからなる磁場が70%近くを占めることが示され、磁場の傾きが水平方向に卓越していることを強く支持する結果を得た。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] On the Distribution of Quiet-Sun Magnetic Fields at Different Heliocentric Angles2012

    • 著者名/発表者名
      Orozco Suarez, D., Katsukawa, Y.
    • 雑誌名

      Astrophys.J.

      巻: 746 ページ: 182:1-15

    • DOI

      10.1088/0004-637X/746/2/182

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Model Selection for Spectropolarimetric Inversions2012

    • 著者名/発表者名
      Asensio Ramos, A.; Manso Sainz, R.; Martinez Gonzalez, M.J.; Viticchie, B.; Orozco Suarez, D., Socas-Navarro, H.
    • 雑誌名

      Astrophys.J.

      巻: 748 ページ: 83:1-14

    • DOI

      10.1088/0004-637X/748/2/83

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Imaging Magnetograph eXperiment (IMaX) for the Sunrise Balloon-Borne Solar Observatory2011

    • 著者名/発表者名
      Martinez Pillet, V., 他28名, Orozco Suarez, D., 他12名
    • 雑誌名

      Solar Phys.

      巻: 268 ページ: 57-102

    • DOI

      10.1007/s11207-010-9644-y

    • 査読あり
  • [学会発表] Spatial and temporal properties of internetwork magnetic elements from long time-lapse magnetograms at 0.22011

    • 著者名/発表者名
      Orozco Suarez, D., Katsukawa, Y.
    • 学会等名
      日本天文学会
    • 発表場所
      鹿児島大学
    • 年月日
      2011-09-21

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公開日: 2013-06-26   更新日: 2013-07-04  

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