研究課題
昨年度に、モンゴル・ウランバートルにて冬期に採取したエアロゾル試料を用いて、アジア大陸内陸部における都市エアロゾルの有機物の測定を行った。その結果は、J.Geophy.Res.に掲載された。今年度は、分離した低分子ジカルボン酸、ケトカルボン酸、ジカルボニル類を、ガスクロマトグラフィー・安定同位体比質量分析計(GCIRMS)を用いて個別有機分子の安定炭素同位体比を測定した。この結果から、これらカルボン酸の起源を議論した。また、同エアロゾル試料中の、有機炭素(OC)・黒色炭素(EC)を測定し、暖房に使用される石炭燃焼からの寄与を評価した。さらに、イオンクロマトグラフィーを用いて、主要陽イオン・陰イオンを測定し、エアロゾルの起源情報を補完する。また、エアロゾルの全炭素・全窒素濃度の測定とそれらの安定同位体比を、元素分析計・同位体比質量分析計にて測定し、起源情報を抽出した。モンゴルエアロゾル試料から水溶性画分を分離し、ネブライザーを用いて微粒子を発生させ、それらを吸湿特性タンデムDMA装置を用いて分析し、微粒子の吸湿成長率を計測した。その結果、吸湿成長率はGf=1.11-1.35(av.1.22)と高い値を示した。これは、バイオマス燃焼で生成したエアロゾルの値に近いことがわかり、ウランバートルの水溶性有機物は高い吸湿特性を持つことが明らかとなった。韓国・済州島で採取した海洋エアロゾル試料中に花粉が多く含まれていることを顕微鏡観察から明らかにした。花粉は、春の試料に多いことがわかった。また、春の試料中には高い濃度のクエン酸が存在していること見いだした。関連する情報を解析した結果、済州島で栽培されているミカンからクエン酸が放出され、これが防風林として植えられている杉の木から放出された花粉に吸着されサンプリングサイトまで輸送されたと解釈された。この結果は、現在、論文として投稿中である。
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Atmospheric Environment
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