研究概要 |
本研究は、担体となるシリカゲルにイオン液体(アルキルイミダゾリウムカチオン)を共有結合によって導入した新規充填剤の合成を行い、HPLC分野への検討を行うものであり、本年度は以下に示すような研究成果を得た。 1.新規に臭化ビニルイミダゾリルイオン液体を合成し、これをモノマーとして用い、メルカプトプロピル化したシリカ粒子によるラジカル重合反応によって、シリカ上にイオン液体性分子をグラフト化させてグラフトポリマー被覆シリカ粒子の調製を行った。また、アニオン交換反応により、異なる対イオン(BF_4^-,PF_6^-,CF_3SO_3^-)をもつ粒子の調製を行った。 得られた材料は元素分析(EA),赤外吸収スペクトル(FT-IR),重量分析法(TGA)により構造確認を行った。接触角測定により対イオンの種類が及ぼす親水性の評価を行った。 2.臭化アリルブチルイミダゾリウム([AyBIm]Br)をイオン液体性モノマーとし、メルカプトプロピルシリカ粒子によるラジカル重合反応を実施した。得られたイオン液体修飾シリカ(SiImBr)はEA、FT-IR、TGAにより構造確認を行った。さらにSiImBrを固定相とした逆相クロマトグラフィー分析により,多環芳香族炭化水素に対する保持挙動の調査を行った。調査の結果、SiImBrは多環芳香族炭化水素及び両性化合物の分離において疎水性、π-π及びイオン□双極子相互作用など多くの相互作用を示した。 このように,本研究で用いた高分子イオン液体修飾シリカ粒子はHPLC固定相として十分に期待されることを確認した。
|