研究課題
イオン強度が非常に高いイオン液体中では電気二重層の広がりは望めない。すなわちイオン液体中でのコロイド粒子間には、一般的なコロイド分散媒である水や極性溶媒で働く電気二重層の重なりに起因する静電斥力が静電遮蔽効果により働かず、凝集すると予想される。しかし、近年の研究結果は、イオン液体中にコロイド物質が安定に分散するといった多くの事実を示している。しかし、何故安定化するか、さらにはその安定化のメカニズムなどは不明のまま残されていた。本研究では、コロイド粒子のイオン液体中における分散安定性について系統的に研究するために、銀ナノ粒子を取り扱う前駆段階として、表面性状の明確な単分散シリカ微粒子を選択しその分散安定化に寄与する斥力の起源について精査した。具体的には、表面に開始剤を導入しgrafting-from法で原子移動ラジカル重合(ATRP)法により高分子鎖を導入した微粒子と、裸のシリカ微粒子を用意した。この2種の微粒子を用い、種々のイオン液体中での分散安定性を動的光散乱、直接電顕観察により調べた。その結果、修飾鎖の立体効果による斥力が働く場合にはコロイド粒子が安定分散することを見出した。この場合、濃度増加させると粒子が配列し最終的には籠効果によって動けなくなり、コロイドガラスを形成した。さらに、コロイド粒子系、修飾鎖の長さを制御すると、コロイドガラスが構造色を呈することを見出した。本コロイドガラスは、可視光選択反射特性、高イオン伝導性、熱安定性、不揮発性などの特徴を有するため、太陽電池の電解質層など、新しいオプトイオニクス材料としての展開も視野に入れ、その詳細を明からにした。
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