研究課題
本研究では、SOI上にSiGeをエピタキシャル成長させ、それを局所的に酸化する手法により歪みSiGe-On-Insulator(SGOI)を形成する手法の確立を目的としている。H21年度は、SGOI層の欠陥評価と制御の研究を実施し、以下の成果を得ている。(1)SGOI形成時に発生する積層欠陥に起因する深いアクセプタを低減するため、フォーミングガスアニール(FGA)とAl堆積後アニール(Al-PDA)を検討した。その結果、低Ge濃度領域ではFGAとAl-PDAは共に有効に機能するが、高Ge濃度領域では、FGAは機能しないのに対して、Al-PDAは有効との知見を得た。また、10^<18>cm^<-3>オーダのAlがSGOI層中に存在することをSIMS分析から明らかにした。従って、AlがPDAによりSGOI層中に拡散し、積層欠陥起因のダングリングボンドを終端化したものと考えられる。SGOIの欠陥低減化のための重要な知見である。(2)Al-PDA処理後のSGOIをチャネル層として用いるには、PDA後に形成されるAlとSGOIとの界面反応層が課題となる。Alの代わりにAl_20_3を用いたAl_2O_3-PDAの効果を詳細に調べた。その結果、欠陥低減化ができるPDA温度は、Alに比べて約200~300℃高いこと、AlとSGOIとの界面反応は完全抑制できること、を明らかにした。これにより、欠陥低減効果とAl/SGOI界面反応の防止ができるプロセス技術が確立できた。
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