研究課題
InNの光学的・構造学的・電気的特性とその成長メカニズムについては未だ不明な点が多い。最適な成長条件を見出し、電気的・光学的特性の改善を図るためには緻密で基礎的な研究が必要である。本年度は、RF-MBE法を用いて作製したMgドーピングp型InN結晶の電気的特性評価に関して、様々な評価方法を用いて詳細に解析を行った。評価に主に用いた手法は、サーモパワー評価とECV(electrolyte capacitance voltage)評価である。p型InN結晶成長の際に用いるアンドープ下地InN層の影響について、サーモパワー評価を用いて検討を行った。Mg濃度の異なる2つの試料において、下地InNの厚さが薄くなるにつれて、Seebeck係数が大きくなりp型伝導を示すことを見出した。このことは、アンドープの下地InN層が強いn型層として働き、Seebeck係数の評価に影響を及ぼしていることを示している。この結果をもとに、従来ECV評価により得られていた結果との違いを解明することができた。また、Mgドーピング量を最適化したInN試料においては、自由正孔の存在による明確なSeebeck係数の変化が現れることを確認し、これらの実験結果をもとに、ホール濃度、ホール移動度を実験的に見積もることにも成功した。上記の成果は、10月に米国タンパで開催された窒化物半導体国際ワークショップ2010にて口頭発表するとともに、Applied Physics Lettersにも論文として掲載された。
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Appl.Phys.Lett.
巻: 98 ページ: 042104-1-042104-3
Jpn.J.Appl.Phys., 01AE02 (2010)
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