本研究は、地上移動時に樹木や建造物にフック付きのワイヤを投擲し、それを牽引することで移動を実現するという、従来全く試みられたことのなかった斬新な移動を行う極限環境用移動ロボットを実現しようとするものである。我々はすでに、フックをかぎ状に保つ状態と直線状になった状態の切り替えを、ワイヤの牽引力変化によるメカニカルスイッチ、空圧スイッチ、電気式スイッチの3種類で行う方式を提案し試作検討した。しかし、いずれもワイヤとして特殊なものを使わなければならないという問題が残されていた。この問題を受けて今年度は、Se-Gon Roh氏と打ち合わせを行った結果、これらとは全く異なり、超小型の赤外線(IR)センサを使用した超小型通信機器によってフックのトリガを駆動する方式を新たに考案した。また、その信号を受けて駆動するフック機構、フックを投擲する機構の設計と開発をずっと進めた。その結果、著しく興味深い機構の開発に成功した。 残念ながら昨年度には対外的には学術発表はなかったが、すでに5月のロボメカ学術講演会に投稿しており、また秋のサンフランシスコでのIROSにおいて報告できるように準備している。またジャーナル論文も発表出来るように準備を進めている。
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