研究課題
クリーン半導体量子井戸および量子細線半導体レーザーの作製・加工および評価計測を行い、構造の次元性やキャリア間相互作用の効果を検証し明らかにすることが目的である。初期の低次元半導体レーザーの理論では、キャリア間相互作用(多体効果)を無視したバンド理論が使われていたが、それでは不十分であることが最近の理論研究で多く指摘され、実験的にもその実例が示されつつある。本研究では、キャリア間相互作用の効果が構造の次元に応じてどのように強い寄与をするのか検証・解明し、高度な性能予測やデバイス設計に活かせるようにデバイス物理の基礎を確立することを目指す。既に有している量子細線レーザーや量子井戸レーザーのウエハーやチップを用いて、それらに対して半導体レーザーのプロセスを行って、レーザー発振や光学特性評価計測の実験を進めた。特に、プロセスでは、レーザーの端面への誘電体多層膜コートによる反射率制御が新たに必要と解ったので、その開発も行いつつ実験を進めた。これまでに行ったマグネトロンスパッタリング装置の条件だしにもとづき、多層膜形成の自動化を進め、約20層程度の多層膜形成を行った。へき開再成長法は、超高真空MBEチャンバー内で試料を均一にへき開する方法で、T型量子細線を作製する上で必須の成長法である。通常のMBE装置では、T型量子細線の作製はできないので、MBE装置に試料マウント、へき開用治具、試料アライメント用光学測定系などの、特別な改良を施す必要がある。そのための超高真空MBE装置の立ち上げを進めた。へき開再成長試料は評価においても、独特の評価手法が必要なので、これまで蓄積されてきた評価手法に改良を加え、へき開再成長の新しい試料が出来上がってきたときにフィードバックがかけられるよう、効率よい導波路評価法の開発を進めた。
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