研究課題/領域番号 |
09F09303
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
櫻井 明彦 福井大学, 大学院・工学研究科, 准教授
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研究分担者 |
DAS S.K. 福井大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 冬虫夏草 / コルジセピン / 多糖類 / 抗腫瘍性 / 免疫賦活 / Cordyceps militaris / サナギタケ |
研究概要 |
冬虫夏草が生産するコルジセピンやそのアナログは、HIVなどの感染症や白血病などの治療薬として研究が進められているが、通常の通気攪拌培養などの液体培養法では生産性が低く、各種生理活性試験を行うことが難しい。そこで、大量生産が容易な液体培養法によるコルジセピン生産について培養条件の検討を行った。 液体表面培養法では、アデノシンを添加した高濃度培地を用いた場合には30日間の培養で8~9g/Lのコルジセピン生産が可能であったが、液体振盪培養法では同じ培地を用いた場合にも0.5g/Lに満たないコルジセピンしか生産されない。この原因として、振盪による培養液の流動に伴う微生物への機械的ストレスと、気中菌糸の存在が考えられる。液体表面培養では培養液表面に増殖した菌糸体は、気体側に気中菌糸を発達させながら増殖するが、振盪培養などの深部培養法では糸体と気体との接触が無く気中菌糸は発達しない。このことが生産性低下の主要因と考えると、深部培養法による生産性向上は非常に難しい。一方、流動による菌糸体への機械的ストレスが生産性を低下させている場合には、これを取り除くことによって生産性向上が期待できる。この条件を満たすものとして、回転円板型培養器を用いたコルジセピン生産を検討したところ、5g/L程度のコルジセピン生産が可能であった。また、培養液の入れ替えによる反復回分培養も可能なことが明らかになった。現在、培養液からコルジセピンを単離精製する条件を検討しており、必要量が確保できた時点で、抗腫瘍性に関する多糖類とのシナジー効果について確認する予定である。
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