研究概要 |
キシログルカン、スクレログルカンおよびカードランなどβ-1,3グルカンの構造をもつ細胞壁構成あるいは種子貯蔵多糖類は、抗腫瘍性薬品あるいは賦形剤として医薬方面、ゲル化および増粘作用から食品加工において広く用いられている。一方、ポリフェノールは抗酸化作用により食・健康領域で注目されているが、特に、心血管障害、腫瘍に対する有効性が期待されている。これらの研究の発展として、ポリフェノール類と多糖類の相互作用を調べ、新しいゲル化剤の開発および生理機能のある食品素材を開発することを目的としている。本年度は多糖類として効率よく架橋が可能であり、その物理的性質がよく把握されているカルボキシメチルセルロース(CMC)をモデル物質として、グリシジルエーテルなど種々の架橋剤による架橋密度と、その濃度を調整することにより、マトリックスとしてのゲル中の機能性物質の保持性と徐放性についての基礎的知見を検討した。ハイドロゲルの機能性における架橋剤の影響について、イオン強度やpHの異なる溶液中、あるいは塩化ナトリウム、ショ糖、アスパラテームなどの試薬を含んだ溶液におけるゲルの保水性および徐放性を測定した。BSAを用いてリリース量について検討をした。またゲルの物理的要因についてSEM、X線、赤外線スペクトルを用いて、そのゲルの微細構造を明らかにし、構造と力学的特性の関連を把握し、加えてレオロジーの測定によりこれらのゲルの最適化を検討した。
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