研究課題/領域番号 |
09F09321
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
戒能 洋一 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授
|
研究分担者 |
DESHPANDE A. Sujata 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 外国人特別研究員
|
キーワード | 3者系 / 寄生蜂 / 生物検定 / チャノコカクモンハマキ / ハマキコラコマユバチ / べッドスペース捕集法 |
研究概要 |
3者系とは、植食性昆虫による食害を受けた植物が誘導性の揮発性物質を放出し始め寄生性昆虫が誘引されるという現象が一般的であろが、幼虫寄生蜂においてはよく見られるものの、卵寄生蜂においてはこの現象はあまり見られない。一部の卵寄生蜂においては誘導性物質に誘引される例があるが、それは寄主卵が葉に食い込む形で産卵されるので、物理的な傷口から卵由来物質(エリシター)が入るり込むことによる誘導である。 ハマキコウラコマユバチは、茶畑においてチャノコカクモンハマキ(ハマキガ科)の重要な天敵寄生蜂として知られている。本寄生蜂において、寄主が産卵した葉から誘導性物質が生産されるかどうかを検証するための実験を行った。ハマキガ成虫に卵塊を産ませた茶葉を採取し、9cmシャーレ内で未処理の葉との選択実験を行った。茶葉は、卵塊の産まれた葉裏面を下にして、上面のみが蜂が接触できるようにした。放した雌蜂は、歩き回るうちに卵塊処理葉に来ると表面をより熱心に探索行動を行い、葉面探索時間で比較すると未処理の葉との有意な違いが見られた。そこで、ハマキガの産卵直後(1日以内)、1、3、5日、経過した葉を準備し、同様の選択実験を行うと、産卵直後、1日後には選択性は有意ではないが、3日、5日には有意に長い時間探索して、処理葉を選択するようになった。 また、サンプルバイアルに卵塊の産まれた茶葉を入れ、ヘッドスペースを吸着することで揮発性物質を捕集し、そのサンプルの機器分析が進行中である。無処報の茶葉と分析結果を比較することで、産卵による誘導物質を同定する予定である。
|