本研究は、有機農業を含む環境保全型農業が、環境保全と安全な食に果たす役割に加え、高齢化や後継者不足などで沈滞しつつある農業・農村に活気を与え、雇用を創出する可能性について探ることを目的としている。 初年度であった21年度(9月開始)には、本調査に向けて共同研究グループとの打ち合わせや予備調査など準備態勢を整えることに重点を置き、カンボジアではこれまでの研究成果を発表し、本研究の課題について議論を行なった。詳しくは次の通りである。 9月、10月に、それぞれタイと韓国においてこれまで行ってきた有機農業の現地調査の共同研究グループと打ち合わせを行い、これからの調査に向けての意見交換を行った。 11月には、東京大学アジア生物資源環境研究センターからJSPS AA Science Platform Programに招待され、カンボジアのCambodian Agricultural Research and Development Instituteにおいて日本と韓国の比較研究を中心にした有機農業の役割と課題について発表を行った。 2010年1月には、バングラデシュ・ダッカ大学のラーマン教授らとダッカ周辺の3つの農村地域を訪問し、マイクロ・クレジットによる貧困対策や雇用創出の実際を視ることができた。 2月には、22年度に行う予定であるヨーロッパ地域における有機農業の実態調査のために予備調査を行った。イギリスの土壌協会やフランスの提携運動グループであるAMAPや、イタリアのGASでは最近、若者を中心に有機農業に新規就農する動きが広まっている。
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