研究概要 |
炎症性サイトカインであるIL-6の生物活性を調節するトリプトリドを、疎水化ゼラチンを用いて水可溶化させることにより、トリプトリドを内包したミセルを作製することができた。得られたトリプトリド内包ミセルをゼラチンと混合して架橋することにより、トリプトリド含有ゼラチンハイドロゲルを作製することができた。得られたハイドロゲルからのトリプ・トリドのin vitroにおける徐放性を調べたところ、ゼラチンハイドロゲルの分解とともにトリプトリドが徐放化されることがわかった。 次に、トリプトリドをマクロファージ細胞株J774.1あるいは骨芽細胞株MC3T3-E1の培養系へ添加したところ、定量的PCRにより、炎症性サイトカインであるIL-6ならびにIL-10の遺伝子発現が抑制されることがわかった。さらに、トリプトリドと骨形成因子(BMP-2)とを含浸したゼラチンハイドロゲルを作製し、ラットの骨欠損部へ埋入したところ、トリプトリドを徐放化することにより、IL-6、TNF-α,IL-10などの炎症性サイトカインの遺伝子発現を抑制できることがわかった。さらに、再生骨に対して、骨分化マーカーの定量PCRならびにX線断層撮影牽行ったところ、トリプトリドとBMP-2を組み合わせることにより、BHP-2単独と比較して、骨形成を増強できることがわかった。以上の結果は、トリプトリドを徐放化することにより局所での炎症反応を抑制し、より骨再生に適した細胞周辺環境をin vivoで誘導できることを示唆している。
|