研究課題
Sirtuinは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)ファミリーのClass IIIに属する酵素で、ヒトでは7種類のsirtuin (SIRT1-7)が知られている。ヒトsirtuinの一つであるSIRT2は、細胞質に存在し、α-チューブリンの脱アセチル化を行い、細胞周期の制御を行っている。また、SIRT2が、パーキンソン病やアルツハイマー病、ハンチントン病のような神経変性疾患に関与するという報告もあることから、SIRT2阻害薬は、抗神経変性疾患薬として期待されている。そこで、本研究では、抗神経変性疾患薬を目指したSIRT2阻害薬の創製研究を目指した。前年度までに見出したSIRT2阻害薬2-(3-phenethoxyphenylamino)benzamideの構造を基にドラッグデザインをおこない、新規21化合物を設計した。設計化合物の合成ルートを考案し、21化合物全てを合成した。Biomol社のアッセイキットを用い、合成化合物のSIRT1、SIRT2阻害活性を評価したところ、合成化合物の1つが高いSIRT2阻害活性を示した(SIRT2 IC_<50>=0.83μM)。今後、本化合物のSIRT1阻害活性測定により選択性を調べるとともに、更なる分子設計、合成展開を行い、更に高活性(IC_<50><0.1μM)、高選択的な化合物の創製を目指す。高活性、高選択的な化合物が得られたら、神経変性疾患の病態モデルにおける効果も検討する予定である。
すべて 2011
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Bioorganic and Medicinal Chemistry
巻: 19(印刷中) ページ: doi:10.1016/j.bmc.2010.12.024