研究概要 |
我々は、成熟ラットの心室筋細胞が転写因子Csxの過剰発現により自動能を有する細胞に形質転換することを証明したが、本研究では転写因子活性の調節によって、1)病的心筋と正常心筋のイオンチャネルの発現がいかに異なっているか、更に2)心房筋や心室筋などの作業心筋を自動能を有する刺激伝導系細胞に再分化することが可能であるか否かに関して検討を行った。そのため、まず組換えアデノウイルス及びgene-knockdown細胞の作成を手がけた。通常のpAdEasyシステムを用いて遺伝子(MEF2C,Tbx5,SRF,FOG-2)組換えアデノウイルスを作成した。次に、新生ラット単離心筋細胞に、組換えアデノウイルス(MEF2C,Tbx5,SRF,FOG-2)をトランスフェクトさせ(単純導入あるいは多重導入)、2日間隔(あるいは4日、8日間隔)で順次導入して、細胞の心筋化誘導とイオンチャネルの発現を行う。トランスフェクト後にどのように心筋分化が誘導されるか以下の手順で評価した。その結果、1)転写因子GATA4の遺伝子導入後に心筋細胞の自動拍動が有意に増加することを確認し、2)パッチクランプ法(Current Clamp法)によって細胞の最大拡張期電位が有意に過分極することを明らかにした。
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