研究概要 |
本研究では、血管新生のキーファクターであるHypoxia Inducible Factor-1α(HIF-1α)のプロテアソーム分解を掌っているProlyl Hydroxylase Domain-2(PHD-2)をsiRNAでノックダウンすることによって、HIF-1αを安定化させ、HIF-1α下流のVEGF等の血管新生因子群の発現上昇を促すという新規コンセプトに基づくsiRNAを利用した血管再生治療を確立することを目指している。本年度は、下肢虚血モデルを作成し、PHD2-siRNA発現プラスミドを局所i.v.投与によって虚血部位に遺伝子導入した後、経時的にレーザードップラー血流計による血流画像化を行なったところ、下肢における大幅な血流量の改善が認められた。そこで、このメカニズムを解明するためにin vivo実験で得られた組織片におけるVEGF,Ang-1,HGF,FGF2、グルコーストランスポーター1(Glu-1)、ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)の発現量をリアルタイムPCRおよびウエスタンブロッティングにより評価した。その結果、これらの遺伝子群の発現上昇が認められ、上記の下肢血流量の改善に寄与していることが示唆された。これらの結果は、PHD-2のノックダウンによって、血管新生だけでなく組織修復も促進される可能性を示唆するものと思われる。
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