研究課題/領域番号 |
09F09605
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
侯 召民 独立行政法人理化学研究所, 侯有機金属化学研究室, 主任研究員
|
研究分担者 |
ZHANG Liang 独立行政法人理化学研究所, 侯有機金属化学研究室, 外国人特別研究員
|
キーワード | 触媒反応 / 希土類 / 有機アルミニウム / アルケン / アルキン / カルボメタル化 |
研究概要 |
本研究代表者らは既に分子内にシロキシ基やベンジルオキシ基などの保護された酸素原子を持つアルキンを触媒量のカチオン性ハーフサンドイッチ型スカンジウムモノアルキル種存在下、トリメチルアルミニウムと反応させると、酸素原子の近傍にアルミニウムが付加する形でメチルアルミ化反応が進行することを見出している。本触媒系では、従来の触媒系では実現困難であった、非対称内部アルキンの位置選択的メチルアルミ化反応を行うことも可能である。そこで、本年度の研究において本スカンジウム触媒系によるカルボアルミ化反応の適用範囲の拡大を目指し、各種内部アルケン類の反応を検討した。その結果、分子内に酸素原子を有する内部アルケン類において、同様の位置選択性で高選択的かつ高収率で反応が進行することを見いだした。本反応においては基質内酸素原子の触媒やアルミニウムへのキレーション効果が大きな影響を及ぼすことが示唆され、酸素原子の保護基として非常に嵩高いシリル基であるTBDPS基を用いても、位置選択的に反応を行うことが可能であるという非常に興味深い結果が得られた。このような内部アルケンの位置選択的カルボメタル化反応はこれまでほとんど報告されておらず、これらの結果は新たな有機合成化学的手法の開発につながると期待される。今後、さらなる基質の適用範囲の拡大を目指すとともに、不斉反応への展開、トリメチルアルミニウム以外の金属種を用いるカルボメタル化反応などについて検討を進める予定である。
|