研究および成果発表:ソ連時代初期ウズベキスタンの土地水利改革を考察する前提となるロシア帝政期トルキスタンの土地・徴税問題に関する論文2本と、ソ連時代の土地調査・土地整理に関わった諸組織・基本的制度についての論文1本をヨーロッパの査読制雑誌に投稿し、いずれも掲載が決定した。ロシア帝政期については、植民地行政府が現地民の耕作する土地の問題を主に税収増加の観点から取り扱ったこと、土地所有についての理解や改革の方向が個人所有志向と共同体所有志向の間で揺れたことや、土地調査と「文明化」観念の関係などを明らかにし、ソ連時代初期については、土地調査・土地整理の方法に帝政期からの連続性が見られることを解明した。これらの作業によって、土地水利改革の政策立案制度の基本構造と歴史的背景を把握し、本テーマの研究を本格的に進めるための準備ができた。 史料収集・調査:ロシア帝政期の徴税・土地調査の基本史料であるパーレン伯査察調査(1908年)報告書のマイクロフィルムを、ワシントン大学図書館および大英図書館から取り寄せるなど、本テーマの関連文献を収集した。また2010年度初めにモスクワのいくつかの文書館で行う史料収集の準備のため、各館の史料所蔵状況を調査した。
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