研究概要 |
本研究の目的は、一般幾何学入のT-双対性への応用である。昨年までは、BouwknegtとGarrentsonとの共同研究を行ってきた。この研究では、ストリング理論における様々なT双対性を幾何学的な立場から見直し、それを一般幾何学へ拡張することである。この研究の成果はある程度まとまり、国内外での国際会議や研究討論を行い、現在最終的な成果としてまとめる過程になっている。この研究の応用について今年度は、2つのプロジェクトを行った。第一は、Dai, Lin, Albertssonと、Hull's doubled field theoryをオープンストリング理論へ一般化の共同研究である。Hullのdoubuled field theoryはT-双対変換のもとで共変的性質を持っている。オープンストリング理論に対して、D-ブレインを定義するためにdoubled空間の上の射影作用素を導入し、オープンストリング理論に使えるFJ作用と呼ぶ境界作用を定義した。さらには4次元の具体的な例を構成し、それを調べることを行った。この研究成果は、現在論文としてまとめている。第二の研究は、池田と行っている高次シグマ模型に対するT-双対性問題である。n=1のシグマ模型はポアソン多様体に対応している。一方で、n=2のシグマ模型はクーラン亜代数に対応していることが知られている。n=1,n=2の位相シグマ模型のT-双対性は、今までBouwknegtとGarretsonとで共同研究をしてきた結果を応用することができた。これをさらに広げて、n=3についての研究を開始した。この研究は今年度の後半から行っており、池田と研究打ち合わせを重ね、具体的な研究計画を策定した。その計画の下で、来年度の研究へ進めていく。
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