研究概要 |
T-双対性はコンパクト化されたstring backgroundに関連する超弦理論における重要な対称性であり、ベースとなる多様体のトポロジカルチャージと関連することが分かってきた。この研究は、オーストラリアの理論物理および非可換研究グループのメンバーであるBouwknegt等によって提唱された研究であり、NS-NS background H-fluxの存在についてのT-双対性についての大域的性質を調べることから始まった。本研究では、一般幾何学の立場から大域的なT-双対性についての共同研究として、一般幾何学の立場から位相的T-双対性からどのようにミラー対称性が理解されるかを行ってきた。最初のアプローチとしては、具体的なモデルでの計算を行い、日本での関連研究者との討論から共同研究へと発展させ、2編の論文を発表した。さらに、この問題についてオーストラリアおよび台湾において共同研究を進め、その成果を現在纏めている。平成22年度では京都大学数理解析研究所で行われるプロジェクト研究「変形量子化と非可換幾何学の新展開に向かって」にて1年間のプロジェクト研究を進めてきた。前述したオーストラリア理論物理学研究グループのBouwknegtからの意見は貴重であり、同氏の意見を参考にして、新しい視点からさらに研究を進めている。平成22年度は、研究討論のために東京および京都での研究機関を訪問し、成果を発表してきた。平成23年には、ベルギーの非可換幾何学および素粒子研究グループとの共同研究を行う計画もまとまっている。この2年間の成果をまとめて国際会議や学会において報告し、その評価を受ける予定である。さらには、複素一般化幾何学の立場からの研究も進めている。これはN=(2,2)超対称性理論の研究の立場から必要である。超対称性とHitchinの複素一般化幾何学との関係を明確にする研究へと進展させている。
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