研究課題/領域番号 |
09F09765
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 修 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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研究分担者 |
YOO Woo-Jin 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 固定化触媒 / 金属ナノクラスター / ワンポット反応 / ホウ素触媒 / 酸素酸化 / 不斉合成 / アルコール酸化 / 高分子 |
研究概要 |
我々は既に、ポリスチレンを基盤とする高分子に固定化した金ナノクラスター触媒(PI Au)が、アルコールやヒドロキノンの酸素酸化反応に有効に機能すること見いだしている。今回、本触媒にルイス酸もしくはルイス塩基触媒機能を導入し、ワンポット酸素酸化、炭素-炭素結合形成反応に有効で回収、再使用可能な固体触媒の開発を目指し検討を行った。 その結果、金属ナノクラスターを調製する際に用いた水素化ホウ素ナトリウムが高分子中のアルコール部位とテトラアルコシキボレートを形成し高分子担体に固定化され、Michael反応を触媒することが明らかとなった。触媒調製の最適化を行ったところ、金パラジウム合金ナノクラスターとホウ素触媒を固定化したPI/CB-Pd/Au/B触媒がアリルアルコールの酸素酸化、続くMichael付加反応の二段階反応を効率的に進行させることがわかった。 本触媒は回収、再利用が可能で、室温、中性、一気圧酸素という極めて穏和な条件下、広い基質一般性を示した。さらに、反応の律速段階が一段階目であり、本触媒を用いアリルアルコールの酸化反応のみを行うと副反応が進行することから、ワンポット反応を行うことによる利点を示すことができた。 さらに、金属ナノクラスター触媒とプロリン誘導体を同一担体に固定化した二機能性触媒を新たに開発し、本触媒がアリルアルコールの酸素酸化、引き続く不斉Michael反応の二段階反応を効率的に進行させることを明らかにした。反応の最適化の結果、不斉収率は96%以上、収率80%以上と極めて高い反応性、選択性を示した。固定化不斉触媒でこのような高い選択性、活性を示す例は珍しいばかりか、本触媒のように不斉触媒と金属触媒を同一担体に同時に固定化し、ワンポット多段階反応を行った例はこれが初めてである。
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