研究課題
超伝導量子ビットとマイクロ波からなる物理系を検討するにあたり、まず実験的なデータを調査し、実験グループと検討を重ねることで、超伝導量子ビットとマイクロ波からなる合成系を理論的にモデル化した。このモデルをもとに、ダイナミクスをあきらかにするために、数値計算のためのコードを開発した。この数値計算コードを用いて、実際に超伝導量子ビットと変調をかけたマイクロ波実験系を解析した。解析では物理系の振る舞いが複雑で、丁寧なモデル化が必要となったが、この実験系を数値的に解析して評価した結果、実験上で予想されていた相互作用とは異なる形の相互作用が実際に起きていることが示唆された。この発見をもとに実際に起こっている相互作用の形を特定し、物理現象を理解するには今後さらに検討が必要であることがわかった。さらに2準位系も含めた数値計算を可能にするために、数値計算コードを拡張・開発した。超伝導磁束量子ビットでは2準位系は避けられない量子デコヒーレンスソースとなっている。このため2準位系が量子ビットや量子バスにどのような影響を与えるかを解析することはゲートとして実現化した場合のゲートの誤り特性の観点からも重要であり、量子情報処理アーキテクチャーの誤り耐性はゲートの誤り特性に大きく依存すると考えられる。これまでの数値計算結果で、物理系の量子的振る舞いがあきらかになりつつあるが、実験データの解釈には若干のずれがあるあり、部分的に今後検討材料が残っている。
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Journal of Physics B : Atomic, Molecular and Optical Physics
巻: 44 ページ: 035504