研究概要 |
B thuringiensis SDS-502株由来のCry8Da (130 kDa)はマメコガネ幼虫、成虫消化液により、64kDa断片にプロセシングされ、さらにAlpha3-4 helixの間のループにニックが形成され、54 kDaおよび8 kDaの断片が生じること。また54 kDa断片がマメコガネ幼虫BBMVの95 kDaのタンパク質、成虫BBMVの150 kDaのタンパク質に結合することを昨年度報告した。そこで本年度は(1)Alpha3-4helix ループの変異体の作出及び評価、(2)Cry8Da結合タンパク質の同定を試みた。 (1)ニックを形成されなくするため、アルギニンをアラニンに置換した8Da-163RA,8Da-159163RAアルギニンをさらに増やした8Da-3Rの作出を試みた。その結果、8Da-3Rについては著しい発現の低下が認められた。8Da-163RAおよび8Da-159163RAのマメコガネ2齢幼虫に対する殺虫活性試験を行った結果、野生型に比べ著しい殺虫活性の低下が認められた。Alpha3-4に生じるニックが殺虫活性を示す上で重要であると考えられた。 (2)マメコガネ幼虫または成虫由来のBBMVをCHAPSで可溶化し、陰イオン交換カラムにより分離した。ファーウエスタンブロット法によりCry8Da結合タンパク質の含まれるフラクションを明らかにした。なお、Cryタンパク質のレセプターとしてアミノペプチデースNやアルカリフォスファターゼが報告されているが、幼虫、成虫どちらのCry8Da結合タンパク質もそれらの酵素活性を示さなかった。さらにpeptide mass fingerprint法によりCry8Da結合タンパク質の同定を試みたが、コガネムシ類のDNAデータベースが不足しているため同定には至らなかった。来年度、N末端アミノ酸シークエンスにより同定を試みる。
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