研究概要 |
昨年報告したlarge-volume sample stacking with electroosmotic flow pump(LVSEP)法による高感度電気泳動分析法では,試料はアニオン性試料に,分離モードはゾーン電気泳動にのみ限定されていた。そこで試料範囲および分離モードを拡張するため,キャピラリー表面修飾法の改良および泳動液への擬似固定相添加を試みた。 LVSEP法を光学異性体分析に適用するため,泳動液にキラルセレクターとして2,6-di-O-methyl-B-cyclodextrinを添加したLVSEP-cyclodextrin-modified capillary zone electrophoresis (CDCZE)によりwarfarinの分析を行ったところ,従来のCDCZEと比較して分離度を低下させることなく1000倍の高感度化が達成された。 また,LVSEPカチオン分析を行うため,キャピラリー内表面を4.75% poly(vinyl alcohol)と0.25% poly(allyl amine)混合ポリマーを用いて修飾し,わずかに正に帯電した内表面を実現した。正電圧条件でカチオン性である4種類の芳香族アミンのLVSEP分析を行ったところ,良好な分離と従来法と比較して110倍の高感度化が達成された。 以上のようにLVSEP分析の分離モード拡張および分析範囲をカチオン性試料まで拡大することに成功した。LVSEP分析はマイクロチップ電気泳動において最も有効性を発揮する分析法であり,これまでの成果をベースに将来的に極めて汎用的かつ高速,簡便,高性能な分析法を開発できるものと期待される。
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