| 研究概要 |
乱流中の微細な渦芯の低圧部を発生源とするキャビテーションを考慮したLESモデル構築を目的として,「キャビテーション乱流のDNSデータベースの構築」および「DNSデータベースに基づいたSGS圧力変動の解析」の二つの課題に取り組んだ.第一の課題では,代表的な自由乱流である乱流混合層について,減圧条件下において生じるキャビテーションのDNSを行い,実験的な既往研究では不十分であったモデル開発・検証のための乱流データを取得した.得られたデータベースでは非常に微細な渦に生じるキャビテーションまで解像されており,モデル開発・検証のための流れ場として有用であり,また,このように詳細なキャビテーション乱流のDNSは本計算が唯一である.第二の課題では,構築したデータベースにフィルタリングを施し,抽出した小スケール流れにおいて,キャビテーション発生源となる微細渦の低圧力領域のモデリングを行った.その結果,圧力変動強度はSGS乱流エネルギーと比例関係にあり,圧力分布はガウス分布で近似できることを見い出した.この結果から,LESであるスケール以上の非定常乱流をとらえることができれば,微細渦からのキャビテーション初生を予測できることが実証された.これらの結果により,微細渦の強度に対応する圧力分布が決定されたとともに,圧力分布に生じるキャビティ量のモデリングや,キャビテーションから影響を受ける渦度変動挙動の定式化などに関する指針が得られた.
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