研究概要 |
本研究の目的は,学習者の量に関する認識上の困難点を学習者の立場から特定し,学校数学における量に関する学習指導全体を再構築することである。本年度と来年度の2年間は,学校数学で学習される量の中でも特に,角の大きさに焦点をあてて取り組んでいる。その理由は,角には他の量にはみられない性質を有する特異な量であり,かつ小学校から高等学校にかけて系統的に学習される重要な量だからである。 本研究では,4段階からなる量と測定の指導段階を基盤とする枠組みに基づいて,学校数学における角に関する学習上の困難点とその要因を実証的に解明する立場をとっている。本年度は,昨年度に枠組みに基づいて小学生から高校生を対象に実施した質問紙調査を改良し,小学校第4学年,第5学年計101名と高等学校第2学年79名を対象とした質問紙調査を再度,実施し,その反応から小学生11名,高校生8名を抽出してインタビュー調査を実施した。また,収録されたデータから,彼らが示す困難点の要因を実証的に考察した。さらに,第91回全国算数・数学教育研究大会(平成21年8月,京都)の講習会に参加し,研究を遂行するための資料を収集した。 そして,昨年と今年度に実施した2回の調査結果とその考察に関して,第33回数学教育心理学会(PME33,平成21年7月19日~24日,ギリシャ),第42回数学教育論文発表会(平成21年11月7~8日,静岡大学),第21回日本教材学会研究発表大会(平成21年10月17日,日本大学)の学会で発表した。
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