研究課題/領域番号 |
09J00634
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
久世 濃子 京都大学, 野生動物研究センター, 特別研究員(PD)
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キーワード | オランウータン / 熱帯雨林 / 霊長類 / 東南アジア / 生態 / 社会的知性仮説 / 大型類人猿 / 野生 |
研究概要 |
本研究では「群れで生活する他の霊長類と比べて、より遠くにいる他個体のおかれた状況や他個体の意図を理解する為に、オランウータンは高い認知能力を用いている」という申請者が着想した新たな仮説を検証することが目的である。 本年度は年度前半に、現地での調査許可の更新の為、平成23年4~5月に2週間、マレーシアに渡航するとともに、共同研究者とオランウータンの文化的行動や、果実生産量と霊長類の生息密度の比較に関する共著論文などを執筆した。また果実季(平成23年6月~7月)および非果実季(平成23年11月~12月および平成24年2~3月)に計4回、38日間マレーシアに渡航し、マレーシア国サバ州のダナムバレー森林保護区において、フィールドワークに従事した。フィールドワークは、2名の調査補助者と研究者で1組の追跡チームを編成し、熱帯雨林の中で野生のオランウータン追跡し、行動観察の記録とGPSデータを収集した。またオランウータンの行動に影響を与える生態学的な要因として、地域の果実生産量を調べるために、落下果実を拾って結実した木の本数と種類を定量的に測定する「落下果実センサス」を調査補助者が毎月行い、資料を収集した。 マレーシアでフィールドワークをしている期間以外は、日本において、今まで収集した行動観察記録、写真や映像、およびGPSデータの整理、入力、分析を作業をすすめた。今まで使用していたノートパソコンでは、ハイビジョン・ビデオカメラで撮影した映像の再生・編集を行うのに非常に時間がかかった為に、今年度新たに1台ノートパソコンを購入した。また収集した資料の整理とパソコンへの入力作業のために、謝金を支払って調査補助者を日本国内において雇用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、計5回53日間マレーシアに渡航し、ダナムバレー森林保護区にて野外調査を行い、資料を収集しました。また常駐している現地調査助手2名が、1年間継続して資料収集を行いました。さらに、共同研究者とともに、論文の執筆や学会や研究会等で研究発表を行いました。以上のように資料収集と研究発表に関しては順調に進展しましたが、本年度は、研究代表者が体調を崩すことが多かった為に、日本での調査データの整理、GISソフトウェアによるデータの分析を、当初予定していたようにすすめることができませんでした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、体調管理に細心の注意を払い、マレーシアでの野外調査を継続するとともに、昨年までに収集した調査データの整理・分析をすすめます。遅れている資料整理・分析を迅速にすすめる為に、必要に応じて謝金を払って補助者を雇い、資料整理を行います。また6月に横浜で開催される日本熱帯生態学会、7月に名古屋で開催される日本霊長類学会、11月に東京で開催される日本人類学会等で研究成果を発表する予定です。さらに本年度後半には、共同研究者らと、オランウータンの遊動距離や遊動ルートに関する論文を執筆、投稿する予定です。
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